東京都内でITコンサルタントをしている32歳の男が、仕事内容を詳しく説明します。ぶっちゃけた年収ややりがいに加えて、未経験から転職できるかについても論じていきます。
ITコンサルタントになってから3年、その前は、システムエンジニア(SE)を7年程経験しました。私と同じように、「ITコンサルタント」を目指している方の中には、SEの方も多くいると思います。今回は、「ITコンサルタント」について、SEとの違いにも着目して、説明していきます。
もくじ
- ITコンサルタントの仕事は、お客様のお悩み相談
- 【SEとの違い】ITコンサルタントはシステム開発の上流工程を担う
- 【SEとの違い】ITコンサルタントは経営者視点が大切
- 私が携わったシステム開発プロジェクトの紹介
- お金もステータスも魅力的すぎる「パートナー」!業界特有の役職、キャリアパス制度
- お金も働き方も魅力的な、「フリーランス」という選択肢
- 仕事の魅力は、自分のため、他人のためにもなること
- 責任の重さが重圧になる
- おすすめ資格3選!資格は不要だが、役に立つ
- 年収は高水準!そして、能力次第で、どんどん年収アップ
- 働きやすい労働環境、在宅勤務環境も整っている事が多い
- かなり忙しい仕事ではあるが、激務ではない
- IT化ますますが進んで、仕事はどんどん増えていく
- 総合系コンサルティングファーム、IT系コンサルティングファームとは?
- 転職の難易度は高い!ITコンサルタントに求められる経験や能力アピール
- システム知識が無くても、ITコンサルタントとして活躍できる
- ITコンサルタントの最大の武器は、コミュニケーション力と論理的思考力
- 大切なマインドは、貢献意欲
ITコンサルタントの仕事は、お客様のお悩み相談
ITコンサルタントの仕事内容は、一言で言うと、「システムに関して、クライアント(お客様)が望んでいる事を解決する事」です。
システムとは、お客様が行う業務で使っている機器全てを指します。例えば、工場の機械や、飲食店にあるタッチパネル、自社ホームページ、スマートフォンのアプリなど多種多様です。
ITコンサルタントのクライアント(お客様)とは、システムについて悩みを持っている企業、とくにその中のシステムを担当する部署(この記事では、「情報システム部」と記載します。)の方を指します。お客様は、製造業、金融業、流通業などの事業会社であることが多いです。
事業会社は、自社でシステムを作ることはせず、ITコンサルタントやSEに依頼します。そのため、ITコンサルタントはシステムを作る仕事(システム開発)を担う事が多くあります。
また、お客様は、自社内だけでは解決できないシステムに関する悩みがあると、システムに関するエキスパートであるITコンサルタントに相談します。そのため、仕事内容はシステム開発だけではなく、非常に多岐に渡ります。ITコンサルタントの仕事内容の例を挙げると、以下の様になります。
- 経営戦略に即した、IT戦略の立案
- IT戦略に沿った、システムの提案・構築
- システム開発プロジェクトの上流工程
- システムの要件定義
- プロジェクトのマネジメント(PMO)
- システムの問題点の改善
※この業界では、システム開発を行う仕事のことを「プロジェクト」を言います。
コンサルタントというと、自分で営業して仕事を取ってくるようなイメージを持っている方もいるかと思いますが、実際は、営業部門の方が仕事(プロジェクト)を取ってきます。そして、各コンサルタントの能力や経験に応じて、最適なコンサルタントがプロジェクトに参加します。
【SEとの違い】ITコンサルタントはシステム開発の上流工程を担う
ITコンサルタント、SE共に、システム開発プロジェクトに参画する事が多くあります。システム開発を担うという点で両者は似ていますが、求められる事が大きく違います。ここでは、SEとの違いについて説明していきます。
ITコンサルタントは、IT戦略・計画の立案、要件定義などの上流工程を担います。また、システム開発が予定通りに進むように、プロジェクトを管理(マネジメント)することもあります。
一方で、SEは、要件定義に基づいて、システムの設計・開発・テストを行い、システムを完成させることが役割です。また、ずっとお客様の会社に常駐して、システムの運用・保守を担うこともあります。
SEの中には、要件定義を行う「上流工程SE」と呼ばれる人もいます。要件定義は、ITコンサルタントが行う場合も、上流工程SEが行う場合もあります。
システム開発の流れを表す「V字モデル」では、それぞれ以下のような業務領域を担当します。
一般的に、SEとITコンサルタントは別の会社に所属します。SEが所属する会社を「Sier」、ITコンサルタントが所属する会社を「コンサルティングファーム」と呼びます。「Sier」と「コンサルティングファーム」は業務提携をして、コンサルティングファームが要件定義、SIerがそれ以降の工程を担って、一つのシステム開発プロジェクトを担う事があります。1つのシステム開発を担うということで、両者は協力関係にあります。
【SEとの違い】ITコンサルタントは経営者視点が大切
お客様に対する視点にも、ITコンサルタントとSEの大きな違いであると思います。ITコンサルタントは、お客様のIT戦略を考えたり、上流工程を担うため、お客様の経営層やIT部門に近い視点が求められます。
例えば、「どこまでをシステム化すれば、費用対効果が高いのか」とか「どうすれば、別事業のシステムとの相乗効果があるか」とか「実現可能性がどのくらいか」といった視点で考える必要があります。会社全体を見るため、「マクロの視点」と言ったりします。
一方、SEは、業務担当者に近い視点が求められます。システム開発を行う際に、「どのような操作性にすれば使いやすいか」とか「こういう機能もあると便利ではないか」といった視点が重要になります。こちらは「ミクロの視点」と言ったりします。こういった視点の違いがあるため、同じシステム開発プロジェクトにいても、接するお客様が違ってきます。
私が、SEからITコンサルタントになった際には、この視点の違いに慣れるのに苦労しました。経営者層には「マクロの視点」で説明しなければいけないところ、「ミクロの視点」で話をしてしまい、全く会話にならなかった経験がありました。
私は、ITコンサルタントになりたての時に、会社で使う全てのシステム化計画を立てる事がありました。製造業のお客様で、製造につかう「設計図面」や「部品の注文書」などの資料を部署毎に別々のシステムで管理していて、さらに各システムの操作手順が多く業務が煩雑になっているので、改善したいというものでした。
その時、私は、業務担当者の目線に立って、各部署のシステムを使いやすくするべきだと考え、「各システム、一部の操作を自動化しましょう」といった提案をしました。すると、お客様(情報システム部の部長)から「部署毎になっているシステムを一つのシステムにまとめて、根本的にシステムを見直したい」と言われました。
SEの時のように、お客様が業務担当者の方であれば、私の提案は大いに喜ばれたと思います。しかし、今回のお客様は、会社のシステムを取り纏める、情報システム部の部長です。情報システム部の部長の立場からすると、私の部署単位の提案はミクロの視点だと感じたのだと思います。そして、もっと全社的(マクロ的)にみた提案をしてほしかったのです。
SEの時には、業務担当者に対して当たり前のように行っていた提案も、ITコンサルタントとなって、相手が経営者層になると、全く的外れな提案になってしまうのだと痛感しました。
私はこの経験から、SEとITコンサルタントの視点の違いを学べ、「マクロの視点」で考える事を心架けるようになりました。
私が携わったシステム開発プロジェクトの紹介
私が携わった仕事(プロジェクト)を1つご紹介します。以下がこのプロジェクトのスケジュールです。
各工程で私が作成した成果物は以下になります。今回はエクセルとパワーポイントで作成しました。
「システム化計画」⇒「システムの要件定義」⇒「システム開発プロジェクトの上流工程」⇒「プロジェクトのマネジメント(PMO)」の一連のシステム開発業務を担ったプロジェクトです。ITコンサルタントは、この一連の流れを担う事が多くあります。
お客様は、医療関連の製品を作る製造業の情報システム部です。悩みは、「製品が故障したというクレームを受けたときの対応業務が煩雑になっている。クレームを管理するシステムはあるが、非効率なうえ、使い勝手も悪い。新しいシステムを作って効率化したい。」というものでした。
私は、前のプロジェクトが終了する1か月前頃に、次のプロジェクトをどれにするか、営業担当から話(相談)がありました。その時に、この開発プロジェクトが、私のスキルや経験を最適ではないかと提案いただきました。正直、当時はプロジェクトに拘りがなかったので、特に、断る理由もなく受け入れました。
そして、その1週間後くらいに、お客様の情報システム部の方と面談をしました。これは、「受入面談」と呼ばれ、お客様の悩みなどを説明してもらったり、お客様が私たちで適任かどうかを判断したりします。受入面談はプロジェクトによって、ある場合とない場合があります。
今回は、受入面談があり、私のスキルや経験で不足はないと判断してくれましたので、このプロジェクトに参画することになりました。受入面談がない場合は、プロジェクトに参画してはじめてお客様と対面することになります。近年は、「受入面談」をやらないことが多くなっているようです。
プロジェクトが開始すると、私は、まず、システム化計画として、どこまでシステム化するかを検討していきました。
最初に、クレームが入った時の現在の処理手順を図示した「業務フロー」を作成しました。業務フローでは、製品の使用者からどのようにクレームの連絡が来て、どこでシステムを使い、どのように製品の使用者に対応するかを明確化できました。
業務フローを作成するにあたり、実際にクレーム対応している人たちに聞き込みをしました。クレーム対応する人、全14名に対して、業務の妨げにならないよう携帯電話をいじっている時間などを見つけて、徐々に聞き込みをしていきました。常に携帯電話をいじっている人もいれば、常にパソコンと睨めっこいている人もいて人間観察をしているような気分になりました。
結果的には、人により対応方法はバラバラで、システムを使っていない人もいたりして、かなり非効率だと感じました。
次に、作成した業務フローを元に、同じ事を繰り返している作業、誰でもできる単純な作業、人によりやり方が違っている作業を洗い出しました。私は、これらの作業を「非効率な作業」と判断し、システム化して効率化することにしました。例えば、上司の承認を得るために印鑑を貰う業務、クレーム内容を所定の書類に書き写す業務などです。
そして、現在の業務フローを元に、「理想の業務フロー」を作成し、お客様にシステム化の案と併せて提示しました。現在の業務フローは、パワーポイント50ページに渡りましたが、理想の業務フローは、パワーポイント22ページになり、業務を半分以下のできるものになりました。
ここまでは、あくまで私からの提案なので、お客様の希望を聞きながら案を練っていきました。
ここで、お客様のシステムの理想がかなり高かったことが分かりました。クレーム対応を電話やメールで受け付けているのを、システムで自動で受け付けるようにするなど、高度な技術が必要な要望もありました。
もちろんクレーム対応の全てをシステム化することもできますが、かなりお金(予算)がかかります。それでは、費用対効果が悪いので、お客様と打合せを繰り返し、どこまでシステム化するかを調整していきま した。
この調整では多くの人が絡み、なかなか意見がまとまりませんでした。このプロジェクトでは、情報システム部の部長だけでなく、実際にクレーム対応する人達も調整に関わりました。「現在のやり方から変えたくない」という意見も少数ながらあったので、お互い譲歩を繰り返し、調整を進めました。今振り返ると、調整をするところが、このプロジェクトで、最も苦労したところでした。
最終的には、システムで自動で受け付ける事は予算の関係で見送ってもらいましたが、理想の業務フローで示した通り、業務は半分以下にできるようにシステム化することで合意しました。
どこまでシステム化するかが決まったので、次は、「システムの要件定義」を行いました。理想の業務フローを元に、必要な機能、どういう画面にするかなど、どういうシステムにするかを決めて、要件定義書を作成しました。
これと並行して、システム開発のスケジュールや進め方を考え、プロジェクト計画書を作成しました。スケジュール、プロジェクト体制、各工程の成果物、会議の予定、関係者などをプロジェクトを進める上での決まり事を記載しました。
要件定義が完了した後は、お客様が提携している会社のSEが、メンバーとしてプロジェクトに参画しました。最初は5名のSEが参画し、プロジェクトが進むにつれて徐々に増えていく、最大で30名程になりました。みんな同じ部屋で作業をするので、直接会話してコミュニケーションを取ります。会社が違うからと言って、メールだけのやりとりでは無く、同じ会社の人たちを同じような感覚で接しました。
そして、SEと協力(手分け)して、システムの設計書を作成しました。設計書の作成が終わると、これ以降のシステム開発は、SEに委託しました。私は、プロジェクト計画通りに進むように、「プロジェクトのマネジメント(PMO)」を担いました。PMOとしては、スケジュール通りに進むようにメンバーを管理して、予定から遅れそうならフォローしたり、サポートしました。また、お客様へ状況を毎日報告しました。
ここでテスト工程に入ります。システムが設計通りに動くかどうかを確認する工程です。この工程の中で、スケジュールの遅れが発生したり、設計の不備でシステムの作り直しが発生することもありました。このような問題は、システム開発では、必ず起こります。その時にどのように適切に対応するかが、ITコンサルタントの腕の見せ所です。
私は、スケジュールの遅れについては、一番問題になっているところに、人員を集中的に充てることで解決しました。設計の不備については、不備となった原因を明らかにして、再度設計をやり直しました。そのため、一部の機能については、システムの稼働時期が1か月遅れてしまいました。
今振り返ると、最初の要件定義の段階で防げたと感じています。要件定義書や設計書など各成果物は、他のメンバーに内容を確認してもらうレビューという作業を行います。この設計の不備は、時間を節約したかったという理由で要件定義書のレビューを行っていませんでした。正しい流れでレビューを行っていれば防げたため、非常に悔しいですが、今後、この失敗を活かしていこうと思いました。
システム開発・テストが終わった後は、実際の業務と同じように、お客様にシステムを使ってもらいました。今回は、自分のパソコンのIE(Internet Explorer)を使って、今回作ったシステムにアクセスしてもらいます。そして、これまで通りの業務がもれなくできているか、社内業務が効率化できているか、システムは使いやすいかなどを確認してもらいました。お客様から、画面の色を変えて欲しいと言ったような細かな要望があったので対応しました。その後、お客様の悩みが解決できていると判断してもらい、無事にシステムが稼働しプロジェクトは終了となりました。
システム化の計画からシステム開発までを一貫して担う、よくある流れのプロジェクトでした。
お金もステータスも魅力的すぎる「パートナー」!業界特有の役職、キャリアパス制度
ITコンサルタントの一般的なキャリアパス(役職)は、以下の4段階になります。ただし、コンサルティングファームによっては、呼び名が変わったり、昇格にかかる年数が変わります。転職活動の際にはご注意ください。
アナリスト
アナリストは、ITコンサルタントのキャリアの一番最初のステップになります。新入社員や、IT業界未経験の中途採用者はここからのスタートになることが多いです。
仕事内容は、資料作成・情報収集などで、上位の役職者の指示を受けつつ動くことになります。また、システム開発プロジェクトでは、システムの設計業務、プログラミングを行う事もあります。
アナリストは、一般的に、「アナリスト」と「シニアアナリスト」という階級に分かれます。「アナリスト」を1~2年、その後「シニアアナリスト」に昇級して、1~2年ほど経験して、「コンサルタント」へ昇格します。
コンサルタント
コンサルタントは、アナリストの上位の役職になります。アナリストからの昇格者、SEなどのIT業界経験がある中途採用者がこの役職になることが多いです。
仕事内容は、顧客調整がメインです。顧客調整とは、お客様と交渉(話合い)をして、合意点見つけることです。システム開発では、どのようなスケジュールで予算内でどこまで行うかなど交渉して決めます。これらを顧客調整と言います。
また、もう一つの仕事内容として、システム開発のプロジェクトでは、スケジュール管理などのマネジメントを行います。アナリストよりも手を動かすことは減りますが、顧客やプロジェクトメンバーとのコミュニケーションが増えます。
コンサルタントも、アナリストと同様に、「コンサルタント」と「シニアコンサルタント」という階級に分かれます。「コンサルタント」を2~3年経験して、「シニアコンサルタント」に昇級します。その後、プロジェクトマネジメント力や、顧客調整力などによって、「マネージャー」に昇格します。
ただし、だれでも、経験を積めばマネージャーになれる訳ではありません。マネージャーはコンサルタントと比較にならないくらい顧客調整が増えます。そのため、顧客調整力が弱いとなかなかマネージャーにはなれないという印象があります。
私は、コンサルタントとして入社し、現在の役職はシニアコンサルタントです。
コンサルタントの時に、PMOとして入ったプロジェクトでお客様にプロジェクトマネジメント力を高く評価していただき、半年ですぐにシニアコンサルタントに昇級できました。
必ずしも一連の工程全てに参画するわけではなく、部分的に参画(PMOだけなど)する場合もあります。
その後は、マネージャーになるために、顧客調整力を磨いていますが、まだまだ実績や評価が足りていません。シニアコンサルタントから、マネージャーへなるには壁があると感じています。
マネージャー
マネージャーは、コンサルタントの上位の役職になります。コンサルタントからの昇格者、別のコンサルティングファームからの中途採用者などが、この役職になることが多いです。
仕事内容は、役職名のとおりマネジメントが中心です。プロジェクト責任者として、予算管理、スコープ管理などプロジェクト全体をマネジメントします。顧客調整も重要な役割で、もっともお客様と接する時間が長い役職です。
マネージャーは、プロジェクトマネジメント力や顧客調整力は一級品で、百戦錬磨の人たちばかりです。マネージャーも、アナリストやコンサルタントと同様に、「マネージャー」と「シニアマネージャー」という役職に分かれます。アナリストやコンサルタントとは違い、経年で昇級できることはなく、結果が重要になります。
パートナー
パートナーは、ITコンサルタントの最高職位にあたり、「共同経営者」と言われます。
マネージャーからの昇格者、または別コンサルティングファームのパートナーがこの役職になることが多いです。ただし、パートナーになるのは、ごく一部の人だけであり、かなりの狭き門です。
仕事内容は、経営と営業です。経営は、自社をどにのように成長させていくか、つまり経営戦略を考えることです。他業界における役員に近いイメージです。
営業は、顧客開拓をすることです。提案書を作成し、顧客にアプローチして、案件(プロジェクト)を受注します。案件を受注した後は、マネージャーが管理していきます。
この業界では、「ITコンサルタントとしての魅力はパートナーにならないと分からない。」と良く言われます。もちろん、責任は限りなく重くなりますが、それに相応しい給料も貰えます。私も、ITコンサルタントとして働く以上、パートナーになることを目指しています。
お金も働き方も魅力的な、「フリーランス」という選択肢
ITコンサルタントの中には、フリーランス(個人事業主)として活躍する人も数多くいます。一般的にはコンサルティングファームで経験を積んで、自信が付いたら満を持して、フリーランスになる人が多いです。
フリーランスの魅力は、収入の多さです。会社に所属しないため、自分自身の単価がそのまま収入になります。努力して、単価が高いプロジェクトに入れれば、その分だけ収入に繋がるので、頑張り甲斐があります。一方で、実績や実力がないと、なかなか良いプロジェクトが見つからないデメリットもあります。
私が所属する会社から、フリーランスになった人もいます。もともとの役職はマネージャーで、プロジェクトマネジメント力が非常に高い人でした。フリーランスになってからは、人材紹介会社に登録し、様々なプロジェクトを渡り歩いています。
実績が豊富なため、紹介されるプロジェクトはかなり多く、一時期は2つ掛け持ちし、平日夜、土日も仕事をしていたことがあるようです。2つのプロジェクト分の収入があるので、これまでの2倍近い月給になった時期もあったようです。1つのプロジェクトだけで年収1000万円稼ぐ方でしたので、おそらく、一時的に2000万円くらいは稼いでいたのではないかと思います。
このように実績や実力によって、柔軟に働けるのも魅力であると言えます。ITコンサルタントとして働く上で「フリーランス」も選択肢に入れておくのも良いと思います。
仕事の魅力は、自分のため、他人のためにもなること
多くのコンサルタントが感じている魅力は「いろいろな事が学べる」ことです。コンサルタントは、短期間でプロジェクトが変わっていきます。お客様の業界、支援内容も様々ですので、非常に幅広い知識や経験が身に付きます。
また、他のお客様での経験を、別のお客様に活かせると自分自身の成長を実感できます。私が経験したプロジェクトの一つに、品質管理を徹底したプロジェクトがありました。保険業界のお客様のシステムの運用・保守を担当しました。保険の契約者の個人情報(氏名、住所、口座番号、マイナンバーなど)を扱うシステムのため、一つのシステム障害で、個人情報が流出したり、業務が止まってしまうこともあります。そのため、不具合は許されませんでした。
それでもシステム障害は発生してしまいます。このプロジェクトではシステムに障害が発覚したら、原因を徹底的に分析し、再発防止策を作り、同じような障害を二度と起こさないようにメンバーに周知徹底させます。そして、再発防止策はお客様に承認してもらうまで、深堀りしていく必要もあり、正直かなり面倒でした。
しかし、このプロジェクトで経験した品質管理の手法は、それ以降の殆どのプロジェクトで使っています。他のプロジェクトで、システム障害が頻発していた事がありました。この品質管理の手法を取り入れたことで、メンバーの意識も変わり、システム障害は減っていきました。
この経験で、自身の成長を実感できました。様々なプロジェクトを経験するITコンサルタントならではの魅力であると思います。
コンサルタントになる人は、もともとルーティンワークを嫌う傾向が強いという事もあり、こういった「学び」に繋がることを魅力に感じている人が多いです。
コンサルタントのもう一つの魅力は、「お客様のために働けること」です。お客様が困っている事を解決した時の達成感ははかりしれません。私は、「私が携わったシステム開発プロジェクトの紹介」のところで紹介したプロジェクトの後、同じお客様から別の仕事を受けました。お客様が満足するシステムを作れた事と、プロジェクトマネジメントの手腕を置く客様に評価してもらえたためです。この時、お客様から頼りにしてもらえることは、コンサルタントの醍醐味であると感じました。
責任の重さが重圧になる
魅力だけではなく、辛い事ももちろんあります。ITコンサルタントは、責任が重い仕事を担う事が多いです。お客様の会社全体に対するIT戦略を立てて実行したり、システム開発のプロジェクトでは成功を任されたりします。
うまく進んでいる時は良いですが、問題が起こってうまく進まない時は辛いときもあります。
「私が携わったシステム開発プロジェクトの紹介」で記載した、私がマネジメントしているシステム開発のプロジェクトで、テスト工程になってスケジュールが大きく遅れてしまったことがありました。メンバーに残業してもらったり、問題となっているところをサポートしたりと改善を試みましたが、遅れが広がる一方でした。
どうしても改善できなかったので、私は、お客様にシステムの稼働日を延期する提案をしました。もちろんすんなりとは受け入れて貰えず、遅れの根本的な原因、他に対応策はないか、残業などで改善できないか聞かれました。
遅れの原因についてメンバーへの聞き込みをすると、「設計段階で分からないことがあったが相談せずに進めてしまった。そのため、後になって色々なところで矛盾が生じて、取返しがつかなくなった」ということが分かりました。正直なところ、あまりに酷い理由であったため、お客様に説明する勇気が出ませんでした。
私は、お客様へは「設計の段階で考慮漏れがあった」と少しごまかして報告しました。その後も数週間にわたりお客様とやりとりして、一部の機能だけ稼働日を延期することで折り合いが付きました。お客様の中には、最後まで納得のいっていない方もいました。
このように、お客様への悪い報告をしなければいけないことも良くあります。お客様への悪い報告はかなり気が滅入ります。しっかり筋の通る説明をしないと全然聞き入ってくれないお客様もいて、何回も何回も話に行くこともあります。
よくテレビドラマとかであるような、何回も行けば誠意を認めてくれるような事は、実際には絶対にありません。しっかり筋の通った報告で納得してもらわなければなりません。
報告の度に、しっかり筋の通るように資料を修正する必要もあって、かなり手間です。そのため、他の仕事も手につかないこともザラです。
私は、昼休みも、家に帰ってからも「どうやって報告するべきか・・・、なんとか誤魔化せないか・・・」と考えてしまいました。また、他の仕事は進めないといけないので残業時間も多くなって、心も体も休まりませんでした。この時期は、「こんな事をやりたい訳ではないのになぁ」と悲観的になっていました。
ITコンサルタントとしては、システム開発のプロジェクトの成功させる責任があるので、こうった報告も重要な仕事で、付き物でもあります。しかし、このように気が滅入る報告がずっと続くと、誰しも心も体も辛くなると思います。私の会社では、相談する相手もおらず、重い責任を一人で背負って心も体も辛くなって鬱病を患い、途中で会社を辞めてしまった人もいたようです。
私の場合は、会社の先輩やメンバーに相談して、お客様にも納得いただけたので、事なきを得ましたが、他人事ではないなと実感しました。
ここまで、辛い面をお伝えしましたが、最後に「辛いことがあってこそ」と言える仕事の醍醐味をお伝えします。
それは、プロジェクトが終わった後の「慰労会(飲み会)」です。必ず行う訳ではないですが、プロジェクトが終わった後に、メンバー、お客様を含めて行う事があります。仕事では厳しかったお客様も、最後には笑いながら一緒にお酒を飲んで、プロジェクトを振り返ったりします。
辛かったプロジェクトも、厳しいことを言われて嫌だったお客様も、慰労会で良い経験だったなと思えるようになります。
お客様と飲みに行くのを躊躇う人もいますが、仕事では聞けない話(本音)を聞けたりするので、私は好きです。お金もお客様が出してくれる事が多いので、美味しいものを無料で食べられるのも最高です。
プロジェクトが終わる直前は、「今回は慰労会あるのかなぁ」と考えて過ごしています。
おすすめ資格3選!資格は不要だが、役に立つ
ITコンサルタントになるには「資格」は不要です。しかし、持っていると、お客様から好印象を受けたり、業務で役に立つ資格がありますので、いくつか紹介します。
プロジェクトマネージャ
IPA(情報処理推進機構)が行う、高難易度の試験です。名前の通り、システム開発のプロジェクトをマネジメントする人向けの資格です。PMBOK(ピンボック)と呼ばれる、プロジェクト管理を体系化したガイドラインを元に、プロジェクトマネジメント手法が学べます。
最近では、ITコンサルタントが、システム開発をマネジメントする事が多くあります。
この資格を持っていると、プロジェクトマネジメント手法が身についている事が証明されるので、高い評価や信用を得られます。
ITストラテジスト
ITストラテジストも、IPAが行う、高難易度の試験です。ITコンサルタントや、事業会社のCIO(※)といった経営に近い立場でシステムに携わる人向けの資格です。経営戦略に基づいたIT戦略の策定、ITを活用した事業計画などに活かせる、高度な技術が身に学べます。
ITコンサルタントの国家資格なので、持っているだけで、高い専門性を有すことを証明できます。
※ CIO・・・Chief Information Officer、「最高情報責任者」の事。企業の情報システムに関する最上位の意思決定者
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントの国家資格です。ITやシステム開発に特化していませんが、経営に関する幅広い知識が身に付きます。
ITコンサルタントは経営層に近い視点が求められますので、この資格で学べる知識や考え方はとても役に立ちます。また、様々な業界の知見が身につくことも特徴です。
初めて携わる業界のお客様の場合、業界の知識がないと苦労します。お客様によっては、同じ業界の経験しているITコンサルタントを優先する事もあります。中小企業診断士を持っていると、様々な業界の知見あることを証明できるので、幅広い業界のお客様を相手にできます。
私は、紹介した中では、SE時代に「中小企業診断士」を5年かけて取得しました。ITだけではない、経営全般に関するコンサルタントになりたいと思っているため、取得しました。ITに限定した資格ではないので、ITコンサルタントにはあまり活かせないと思っていましたが、実際には、かなり活かせています。
今は、「中小企業診断士」と内容が似ている「ITストラテジスト」を目指して勉強中です。
年収は高水準!そして、能力次第で、どんどん年収アップ
ITコンサルタントの年収は、非常に高めに設定されています。会社にもよりますが、「マネージャー」になると1000万円を超えるのが一般的です「パートナー」になると、2000万円や3000万円にもなります。SEを経験した人たちが、年収アップのためにITコンサルタントもなることも多いです。
以下の表は、私の所属する国内コンサルティングファームの年収例です。私は、現在「シニアコンサルタント」で、年収は780万円です。ただし、年収は会社によって大きく異なります。転職の際には、各役職の年収レンジを確認すると良いでしょう。
ITコンサルタントの給与体系は、能力や成果に応じた年俸制の事が多いです。上司、先輩からの評価だけではなく、お客様からも成果や貢献度を評価してもらいます。会社毎に、評価項目があって、お客様に項目毎に評価してもらいます。項目としては、マネジメントスキル、ITスキル、提案力などがあります。
そのため、積極的に学んで能力を高め、高い成果につなげられる人は、どんどん年収が上がっていきます。一方で、上昇意識が低いと年収が下がる事もあります。私はSEだった時は、上司、先輩からの評価のみだったので、お客様からの評価が大事なのはITコンサルタントならではだと思います。
また、マネージャー以上になると、成果によって、賞与(ボーナス)が大きく変わります。売上げの数パーセントが賞与になる会社もあります。こういった給与体系のため、年功序列や、安定した昇給することを望む人には向いていないかもしれません。
これだけ年収が高くなる理由は、ITコンサルタントの単価の高さにあります。ITコンサルタントと、SEでは、単価が大きく違います。単価とは、お客様がITコンサルタントやSEを雇うのに支払う月当たりの金額です。SEの相場は、70~100万円です。ITコンサルタントは役職により大きく異なりますが、120万~300万円です。同じシステム開発を行うにしても、上流工程やマネジメントを担う立場になると、これだけ単価が上がります。この単価の高さが、高い年収に繋がっています。
働きやすい労働環境、在宅勤務環境も整っている事が多い
ITコンサルタントは、客先常駐となることが殆どのため、労働環境は、お客様次第になります。ITコンサルタントに仕事を依頼するのは、大企業の場合が多いです。そのため、インフラが整備されていて、仕事をしやすく、労働環境は良い事が多いです。
私が、働いてしていた職場について、1つ紹介します。立地は、山手線沿いのオフィス街にある、30階建て程のオフィスビルの16階です。お客様は同じビルの17階で仕事をしています。よくテレビドラマで見るようなオフィスで、無機質に机の島が並べられているイメージです。お客様のオフィスですが、プリンターや備品、会議室や給湯室など、自由に使うことができました。
同じ部屋には、色々な会社の方がいて、合計100名以上いました。男女比率は、9:1くらいです。IT業界自体の男女比率もこれくらいだと思います。年齢層はかなり幅広く、20代前半の新入社員もいれば、定年近い方までいました。一番多い年代は、20代後半から30代の方でした。
勤務時間、服装などのルールは、お客様のルールに従います。私の場合は、お客様がノーネクタイでラフな方が多かったので、それに合わせてスーツでノーネクタイにしていました。勤務時間は9時~18時で、水曜日は定時退社日というルールがあって、よほどのことがない限りは定時退社していました。いくつかお客様に行っていますが、このようなお客様先は結構多い印象があります。
最近は、コロナウイルスの影響で、在宅勤務が増えてきています。私は、週3出社、週2在宅で働いています。お客様が大企業の事が多いので、在宅勤務の環境も整っていることが多いです。私のお客様先は、マイクロソフトが提供するTeamsというアプリを使って快適に在宅勤務ができています。WEB会議機能で打合せを行ったり、チャット機能を使って気軽にコミュニケーションを取ることができます。
これまでは、多くの人が「システム開発は在宅ではできない」という認識でいたと思います。私もそうでした。しかし、コロナウイルスの影響で強制的に在宅勤務でシステム開発をやってみると、なんの問題もなくできました。そのため、コロナウイルスが終息した後も、在宅勤務を取り入れていく会社が多いと予想されます。ただし、出社、在宅双方に良し悪しがありますので、完全在宅勤務にはならないと思います。
かなり忙しい仕事ではあるが、激務ではない
ITコンサルタントは「非常に忙しい」業種です。ですが、「非常に忙しい=労働時間が長い」という事ではありません。ITコンサルタントの仕事は、毎日決められた事を行う定常的な業務ではありません。多くの関係者と物事を調整したり、さまざまな問題に向き合ったりと、常に頭を働かせる必要があります。一方で、成果物の作成も行う必要がありますので、考えること、やらなければいけない事が多く、「非常に忙しい」業種であると言えます。
しかし、ひと昔前までの「コンサルタント=激務(終電帰宅・休日出社が当たり前)」のイメージでしたが、近年では、その風潮は殆どありません。働き方改革によって、コンサルティングファームでも残業規制が行う会社が増えました。今では、月45時間の残業が原則禁止になっています。
残業するためには、残業申請が必須となる会社も増えてきています。このように残業を少なくする一方で、効率的に仕事をするようになっています。残業規制と効率化によって、短い時間で多くの成果を出す必要があるため、仕事の密度は増していると言えます。
一日の仕事内容の例を挙げると、以下のようになります。「私が携わったシステム開発プロジェクトの紹介」で記載したシステム開発プロジェクトです。
時間 | 業務内容 |
---|---|
8:50 | 出社 パソコンを立ち上げて、今日の会議予定、Microsoft Teams(※)で連絡事項を確認 ※プロジェクトで採用している、コミュニケーションツール。メールよりも 簡単にコミュニケーションが取れる。 |
9:00 | 朝会 同じプロジェクトのメンバー(主にSE)を集めて、昨日のおこなった作業、本日の行う予定の作業、困っている事を報告してもらう。また、連絡事項を全員に共有。 |
9:30 | 11:00からの課題検討会議の資料準備 プロジェクトを進める中で出てきた、問題点(課題)を一覧化した資料を作成。必要に応じて、メンバーから情報収集する。 例えば、予定より遅れている作業をどのように巻き返すか、などを検討 |
10:00 | 16:30からの週次報告会の資料準備 前回の週次報告を引用して、今週の実績を記載する。ここでも、必要に応じてメンバーに状況を確認しながら資料を作成する。 |
11:00 | 課題検討会議 参加者は、PMO(私)、今回の解決策を考える課題に詳しいメンバー5名の合計6名。 私が司会、進行を務め、資料を元に、1つ1つ課題の解決策を検討していく。 時間内に意見がまとまらない事もよくあり、その場合は、翌日に続きを実施。 |
12:00 | 昼休み プロジェクトのメンバーの4人で外食。 お客様先の近辺には、ラーメン屋が多かったので、週3回くらいはラーメン屋にいく。あと2回は、中華料理、カレー屋あたりが1週間のローテーション。私は、毎週水曜日に行く、ラーメン屋の「汁なし担々麺」が一番好きでした。 |
13:00 | メンバーが作成した成果物のレビュー(確認会) 参加者は、PMO(私)、レビュー対象の成果物を作成したメンバー、それに詳しいメンバー5名の合計7名。 メンバーが作成した設計書、プログラムを確認。記載に誤りがないか、やりたい事が実施できているかを確認。必要に応じて、指摘を出す。 この会議で指摘がなくなると「レビュー完了」となって、成果物が完成となる。指摘があると、修正してもらって、後日、再度レビュー(確認会)を開催する。 |
14:00 | 自分の作業時間 会議、会議準備以外の作業を行う貴重な時間。システム開発を進めていく途中で、出てきたお客様の要望をどのように取り込むか考えたり、スケジュールを見直したりする。 立場上、会議時間が多いので、まとまった時間が取れる時に、頭を使う作業を行う。 |
16:30 | お客様への週次報告会 参加者は、PMO(私)、状況を良く把握しているメンバー3名、お客様(情報システム部の方4名)の合計7名。 私が司会、進行を務め、作成した資料を元に、スケジュール通りに進んでいるかを報告。遅れている場合や遅れるリスクがある場合には、どのように改善するかを併せて報告する。 |
18:00 | 終業時間。ただ、まだやることがあるので残業。 作業の遅れが目立つメンバーに状況をヒアリング。引き続き遅れているようなら、原因を聞いて、どれくらいの残業でカバーできるか確認。 作業の優先度や、作業が進んでいる他のメンバーに協力してもらえるか等を勘案して、本日のゴールを決める。 |
18:30 | 会議の議事録の作成 本日の会議(週次報告会)の議事録を作成する。作成したら、参加したメンバー、お客様に確認のメールを送る。 |
19:30 | 終業 月1回、メンバーと懇親会(毎回20名くらいは参加) |
20:30 | 帰宅 子供の寝かしつけ |
IT化ますますが進んで、仕事はどんどん増えていく
近年、大企業は、デジタルトランスフォーメーション、Iot、RPAといったITを使った業務改善に力を入れています。また、近年は、次々に新しい技術、ITサービスが出てきており、今後もますますこの流れは加速していくと考えられます。こういった業務改革の実現には、高度なIT知識が求められ、ITコンサルタントに依頼する事が多いです。こういった情勢を考えると、ITコンサルタントの需要は多くなっていく事が予想されます。
私は、特に「RPA」に注目しています。RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの事で、ロボット(システム)を使って業務プロセスを自動化することです。比較的に低価格で実現できるので、企業規模が小さめの会社でも導入実績があります。そのため、今後、中小企業向けにもRPAを導入できるようにしていきたいと考えています。中小企業診断士の資格を活かし、RPAによって業務改善を提案することが私の今後の目標です。
総合系コンサルティングファーム、IT系コンサルティングファームとは?
ITコンサルタントが所属する会社は、「総合系コンサルティングファーム」または、「IT系コンサルティングファーム」のいずれかになります。
「総合系コンサルティングファーム」とは、企業戦略の立案から、ITを使ってシステム化するところまで総合的に手掛けるコンサルティングファームです。ITコンサルタントの他に、戦略コンサルタント、業務コンサルタントなど幅広いコンサルタントが所属しています。
規模は比較的に大きめの会社が多く、従業員数でいうと、数百名を超える事が多いです。会社名に「コンサルティング」と付く会社は、総合系コンサルティングファームに属している事が多いです。総合系コンサルティングファームには「BIG4」(※)と呼ばれる企業群があり、転職活動でもとても人気が高くなっています。
※ BIG4・・・「デロイト トーマツ コンサルティング」「PwCコンサルティング」「KPMGコンサルティング」「EYアドバイザリー」の総称
一方、「IT系コンサルティングファーム」とは、その名の通り、IT分野に特化したコンサルティングファームです。IT分野の中でも、金融業界に特化したり、システム開発のテスト工程に特化したりと、専門分野・業界はそれぞれです。そのため、自分が得意とする分野を専門とするコンサルティングファームも見つかるはずです。
総合系コンサルティングファームよりも、多くの企業がありますが、規模は小さめの会社も多いです。Sierによっては得意分野でコンサルティングを行う会社もあります。
私の会社は、「総合系コンサルティングファーム」に属します。私は、ITを超えて経営全体のコンサルタントを行いたいので、総合系が合っていました。自身のキャリアに合わせて選択すると良いでしょう。
転職の難易度は高い!ITコンサルタントに求められる経験や能力アピール
転職の難易度は、現職・年齢に大きく左右されますが、総括すると「難易度は高い」と言えます。
SEなど、IT業界の経験がある場合は、難易度は下がります。会社によっては、SE経験が長くキャリアアップを目指している方を狙って採用活動をしている事もあります。こういった会社では、未経験を歓迎してますので、転職しやすいでしょう。私は、この枠での採用となりました。ただし、上にも記載した通り、難易度自体は高い業界です。転職しやすいと言っても、門戸は狭いのが実情です。
私が、SEから転職した際には、ITコンサルタントに求められる、上流工程やマネジメント経験を最大限アピールしました。実際に、ITコンサルタントになると、SEでのこれらの経験がとても活きたと思っています。
一方で、IT業界に携わった経験が無い場合は、難易度が高くなります。ITコンサルタントは、経営者やIT部門とシステムの話をするので、高い専門性が求められます。そのためIT業界未経験からの転職は、なかなか難しいといえます。
もちろん未経験を歓迎している会社もありますので、必ずしも諦める必要はありません。私が知っている中にも未経験で採用された人も多くいます。公務員、自衛隊、銀行員など前職はさまざまでした。色々なバックグラウンドを持った人を採用することで、対応できる領域を広げることを目指しているようです。
ただし、未経験からの転職となると、キャリアでいうとアナリストからのスタートとなる事が多く、年収は低めです。私は、このような方を3名知っていますが、システムに関する知識、IT戦略の考え方、システム開発プロジェクトの進め方、提案資料の作り方など、ITコンサルタントになるために学ぶ事が高く、いずれの方も苦労していました。IT業界が未経験であれば、ITコンサルタントの前に「SE」を経験した方が苦労は少ないと言えます。
システム知識が無くても、ITコンサルタントとして活躍できる
ITコンサルタントというと、システムについては何でも知っていると思われがちです。しかし、あらゆるシステムに詳しい人なんていません。お客様によってシステムは全然違います。ITコンサルタントといえども、最初は、お客様のシステムに対しては、初心者になります。
そのため、お客様のシステムについて詳しく把握するには、システムに詳しいお客様に聞くことになります。つまりコミュニケーションが必要にあります。このコミュニケーションで、自分が知りたい事を正しく伝え、適切な答えが得られれば良いのです。
全てのシステムに詳しい必要はありません。それよりもコミュニケーション力を鍛えて行く方がコンサルタントとして成功するには必要になります。このコミュニケーションがうまくできる人は、どのプロジェクトでもすぐに活躍しています。
ITコンサルタントの最大の武器は、コミュニケーション力と論理的思考力
ITコンサルタントは、顧客報告・顧客折衝、メンバーとのやりとりなど、仕事の中で多くの会話が必要になります。そのため、仕事を円滑に進める為には、コミュニケーション力が非常に重要になります。
コンサルタントに求められるコミュニケーション力は、相手の考えや意見を正しく読み取る力、相手に自分の意見を正しく伝える力です。これらの能力が備わっていれば、コンサルタントとして活躍できる可能性が高いです。
私がSEから転職して初めてのプロジェクトは、前任者からの交代で入りました。プロジェクト内容は、社内で使う資料を保管するシステムを構築するというものです。役割は、プロジェクトのマネジメント(PMO)でしたが、前任者がコミュニケーションを取ることが得意ではなく、マネジメントができてなかったため、お客様からクレームが入り、交代となりました。
そのため、私は、コミュニケーションを取る事を重視してプロジェクトに入りました。具体的には、各メンバーに積極的に話かけて、プロジェクトの状況を把握したり、会議で積極的に発言したり、進行役を務めたりしました。何も難しいことはしていませんが、これだけでお客様からの評価はかなり高かったです。
大切なマインドは、貢献意欲
コンサルタントの仕事は、お客様が困っている事を解決する事ですので、「お客様に貢献する」という意識が大切です。この意識を持ち、お客様を同じ目線で積極的に問題解決に取り組めば、お客様からの信頼を得られます。反対に、自分目線で取り組んだり、言われた事をやるだけの受動的な働き方では、お客様の信頼を失ってしまいます。
また、評価されないITコンサルタントの特徴として、問題点を指摘することができても、解決策を提案できない事があります。問題点は、お客様も把握していることが多いです。ITコンサルタントとしては、問題点の解決策を提案が求められます。お客様に貢献する意識を持てば、ITコンサルタントの働き方が変わってきます。
「ITコンサルタントの最大の武器は、コミュニケーション力と論理的思考力」のところで記載した前任者の方は、言われた作業を黙々とこなすだけで、問題解決に取り組まずに信頼を失った良い例だと思います。
反対に、私は、前任者がコミュニケーション不足で、マネジメントができていなかったという問題点を積極的に解決できたことで、信頼を得られました。
お客様は、高い単価を支払ってコンサルタントを雇います。これに応えるために、最大限の貢献するという意識が大切になります。